2009年9月18日金曜日

日本の首相はアナボーリ?

ここ数日、テープに録音したインタビューを逐語訳して書き留める、という作業をしていて、おもしろいけど実に時間がかかってつらい。耳と肩と頭が疲れる。質問や相槌をうつ自分の声もはいっているので、さらにまいってしまう。なんて低くて美しくない声!そんなときにはこの歌を思い出して頑張るのです。クラムボンの「charm point」。(アルバム『id』に入っています。youtubeにはなかった。ぜひ買って聴いてみてください。) 

さてさて、先日、日本の首相が変わったそうで。

マリの国営テレビでも、ほんのちょろっとですが、日本の新しい首相誕生のニュースが伝えられました。ちょうど知り合いの家の前を歩いていたときで、「ミク、ミク、日本のニュースみたいだよ!」と呼びとめられたので、一緒に見ました。

いやぁそれにしても、外国にちょっといた方ならなんとなく分かっていただけるかと思いますが、異国で見る日本の映像というのは、なぜこうも異質な感じに映るのでしょうか。あと、外国の博物館の日本展示コーナーも。それに、おそろいのスカーフや帽子を身に着けた日本人団体旅行客も。日本であれだけ見慣れているものなのに、こうして見るとすごい「異国」感。エキゾチック・ジャパン。

一緒にニュースを見ていた人が、いろいろ質問してきます。「日本の大統領は誰?」「日本には大統領はいなくて、首相が国のトップです」「えぇ!?大統領がいないなんて!」「この人の名前は?」「鳩山」「…アトゥヤマ?」「non,non, ハ・ト・ヤ・マ」「ミクもこのアトゥヤマ(言えてない)に投票したの?」「日本では国家元首を直接投票で選ばないの」――といった、ありがちなやりとりが続きます。

そのなかにいたある子どもが、鳩山さんを凝視しながら、ぼそっとつぶやきます。「…ア ナボーリ。」すると大人の皆さんも、『小僧、よくぞ言ってくれた!』という感じで、「うむ確かに、アナボーリ」「う~ん残念、アナボーリ」などと口々に同意します。

「アナボーリ」とは、ジェンネ語で「彼は美しくない」ということ。まぁひどい!…うーん、まぁねぇ?政治家は顔の美しさで勝負しているわけではないから、遠く離れたマリの地でそんなこと言われたって、彼もかわいそうだ。反論するとすればそうだな、味のある独特の魅力的お顔と言えなくもないではないか!

実は日本の首相がここでアナボーリと評価されたのは、これが初めてではありません。わたしが前回ジェンネにいた2007年にも、小泉から福田首相への交代がありました。マリでもすこし報道されたようです。わたしはその映像が流れたことを知らなかったのですが、あとで色んな人から、「日本の新しい首相をニュースで見たよ」と声をかけられました。そして皆さん、「…それにしても、アナボーリだねぇ」などと同情するように付け加えてきます。ここでは政治家は俳優みたいな顔でないといけないのか?マリの大統領も、べつに美しいお顔じゃないじゃん…などと思いながら苦笑い。

はっ…!でも、ジェンネの市長さんはたしかに男前です。前市長も、今年新しく就任した市長も、「ちょっとジェンネの皆さん、あなたたち、顔で選んだでしょ?」とつっこみたくなるほどです。まじめそうな政治家の顔というよりも、色男の顔。前市長さんはたれ目の甘いマスクで女性にもてそうな顔だったし(実際もてていた)、現市長さんは細身長身でいつも斜めにタバコをくゆらせ、どこかチョイワルの男前です。どちらもタイプは違えど、たしかに「ボーリ」だわ。

それにしても、帰国するたびに首相が変わっているとは、あわただしいものです。でも、それより何より?わたしがショックだったのは、2004年にマリから帰ってきたとき。わが故郷の福岡ダイエーホークスが、いつの間にか福岡ソフトバンク・ホークスに変わっていました。知らなかった…。ホークスの応援歌をくちづさむとき、いまだに「われらぁ~の われらの~ぉ ダイエーホークス~ぅ」と歌ってしまう私なのであります。年配の方たちが以前、ホークスと言えば南海ホークスで、ダイエーホークスと呼ぶには違和感がある、と言っていた気持が分かります。

日本に帰ったら、「鳩山首相」という響きに慣れるのにも、しばらく時間がかかるんだろうな。とにかく新首相、アナボーリかボーリかどうかは関係ありません。がんばってください。このままだと、日本はとっても生きにくい国で、20年後に外国に逃亡している自分が見えてしまいます。

さてちなみに、ジェンネの人たちにとっての「ボーリ」な政治家は、オバマさんだそうです。そりゃ、アフリカでも絶大な人気のオバマ大統領を基準にされたら、日本の首相も形無しってもんよ。

2 件のコメント:

  1. 小泉さんはマリの人にとって「ボーリ」だったのかなぁ。そういえば、ブラジルは投票が義務なんだけど、結構、男前が当選する確率が高かったなぁ。とりあえずポスター見て決める、って人が多いとそうなるねぇ。今のルーラはアナボーリだけど、味はある。

    新首相に頑張ってと言ってもいかんよ。我々が頑張らなければ!

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  2. >ぽ

    あ、ぽにょ偉い。そうね、わたしたちが頑張らなね。落花生食べ過ぎておなかこわしとる場合じゃないわ、わたし。

    小泉さんはどうなんかねぇ?東アジアの顔はたいてい「アナボーリ」やもんね、こっちの人は。マリでよくインドの映画(字幕のフランス語が一切読めなくてもストーリーが完全にわかる明快なもの)が放送されるんやけど、そこに出てくるインドの俳優の顔はツボみたい。

    インドがどこにあるか知らなかったようなので、テレビ見ながら「この人たちも日本とか中国と同じアジア人だよ」と言ったら、「うそだ!」「それがうそだということくらいは、わたしだって分かるわよ!」と本気で否定された。がーん。

    こちらの人が「日本人の顔~」と言って、ほっぺに両手をあてて横にに~ぃっと引っ張ってマネしたりすると、普段あまり日本人を意識しないわたしも、さすがにへこみまちゅ。

    ブラジルの政治家も顔かぁ…。厳しい世界よのぅ。まぁわたしはブラジルやマリで立候補することはなかろうから、いいけどさぁ…。

    ぽにょお仕事と論文、がんばってね。
    わたしもがんばる。

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