2009年9月5日土曜日

覗いちゃイヤン。

愚痴ります。(天津木村の「吟じます」ぽく。)

以前このブログで、「チュバブ(白人)」のわたしが珍しくて、ジェンネの見知らぬ子どもたちが悪さをしてくることを書きました。身体的なことをからかってきたり、私のジェンネ語(もちろん完璧でなく訛っている)の口調をまねておちょくってきたり。まぁここまでは、悪ガキが調子にのっている、という感じです。

でも、それだけでは済まないのが困る。無視すれば、それが気にくわないのか、棒で叩いてきたり、石や靴を投げつけてきたり。これはけっこう恐怖だし、ひどい屈辱なのです。しかもちゃんと、まわりに大人がいないときにそういうことをしてくる狡猾さ。キ~ッ!

今でも相変わらず、毎日同じような目に遭います。追いかけて運よく捕まえられれば、バシバシお尻を叩いておおいに叱ることも、腕をつかんで長々と説教をすることもありますが、効果なし&きりがなし。慣れるのは難しいですが、毎回それに反応していては精神的にもたない。それに、そういうことをするのは一部の(にしては多いので困る)子どもだけなので、しょうもないガキはなるべくスルーしよう、てきとうに丸め込もう、と決めて、どうにかこうにか心の均衡を保ってきました。

でも昨日、その必死で保ってきた均衡をやぶる出来事が。

見知らぬ子どもたちに、はだかを覗き見されたんです!あぁもう、本当にイヤ。とってもイヤぁな気分なのよ、わたし。

わたしの長屋のトイレ兼水浴び場は、建物の2階にあります。囲いはあるけど、屋根はありません。これはジェンネでは珍しい造りではありません。そしてすぐ隣の建物は、うちより高い三階建て(もちろん三階でも泥づくりの家)。路地を挟んでいますが、そこの屋上のへりに立てば、わたしんちの水浴び場が見えてしまいます。でももちろん覗き見をする人などいなくて、隣の建物の住民は、たとえ屋上に用事があっても、うちの水浴び場が見えてしまうポイントには近寄りません。暗黙の了解です。

さて、自慢じゃぁありませんが、ジェンネでわたしは有名人。ジェンネに住んでいるチュバブ("白人")はわたし1人なので、とてもめずらしいのです。わたしが住んでいる家も、だいぶ知られています。言うなれば、わたしがすき好んで彼らの町に勝手におじゃましているわけなので、まぁ、これ自体は特に気にしはしません。

(でも、わたしの家を知っている見知らぬ大人がお金を無心しにやって来たり、見知らぬ男の人が夜中に口説きに来たり――あちらは私をどこかで見知ったうえでの好意だろうけど、こちらからすれば、夜中に見ず知らずの男性がドアをノックしてくるのはかなり恐怖――、子どもたちが私がごはんを食べる様子をのぞきに来たりするのは、けっこうなストレスでもあります。)

さてそんなわけで、家が知られているうえに、水浴び場が隣から覗き見れるので、悪ガキたちのあいだで「チュバブの裸を見てみようぜ!」という話になったのだと思います。隣の家はいつも人が出払っていて、比較的ひとが少ない。その隣の建物の屋上に、こっそりのぼったようなのです。

まさか覗かれているとはつゆ知らず、いつものようにバケツの水でからだを洗うわたし。当然、なにも身に着けてない姿です。石けんの泡を流しているときに、なーんかひそひそ声が聞こえるなぁ…と上を見たら、隣の屋上に人が!10歳くらいの男の子たちが、こちらを指差して笑っているのです。しかも7人も。

とっさに「そこで何してんの!?あっち行きなさい!」と怒鳴ると、「ハハハ!チュバブが裸だぁ!裸で怒ってらぁ!」としばらく笑い、走って逃げていきました。こちらはあわてて手に取ったタオルで体を隠しているだけ。今から服を身に着けて下へ降り、ぐるっと家をまわって隣の家まで行っても、彼らはすでに逃げているので無意味です。

隣の家の子どもたちやその連れではない見知らぬ顔ばかりだったので、あきらかに覗きをするためだけに来ていたのです。この水浴び場は長屋の共同なので、他のひとも同じところで水浴びをするのに、なぜ私の時だけいたのかしら?――あぁそういえば、今日はすこし前から、同じ顔ぶれの子どもたちが何度も何度も路地からうちの長屋の中庭をのぞきこんでいて、お隣さんに追い払われていたっけ。いつものごとくチュバブを見に来ただけの子どもにしてはくどいなぁ、と思いつつ無視していたけど、まさか、わたしが水浴びに行くタイミングを確認していただなんて。最低だわ、そのずるがしこさ。

わたしもそろそろ三十路です。自分の子どもといってもおかしくない年齢の男の子に裸を見られても、正直あまり恥ずかしくはありません。でも、「家族以外の女性の裸を見る」=とってもよくないこと、見られる女性は嫌がるであろうことを分かったうえで――なにせかれらは、幼くともムスリム、しかも今は特に神聖な月・ラマダーン――、そんなことをしてきた子どもたちのレベルの低さに、ほんとうに腹が立ちました。しかも、あっちに行けと怒った時、ばつが悪そうに逃げるのではなく、わたしがすぐに追いかけられないことを知って、怒るわたしのその姿をしばし笑ってから去っていくなんて。卑怯このうえなしやん!は、ら、た、つ、わぁ~。

その後、隣の家に行って、屋上に子どもが上っていくのを見なかったか聞いてみたり、彼らが逃げていった道にいた人に、走って逃げていった子どもの名前を知っているか、など聞いてまわりました。わたしの話しを聞いて、一緒に憤ってくれる人もいました。でも、残念ながら手がかりはなし。

「チュバブにたいする好奇心」ではすまされないことだよなぁ、と思います。あの子たちがあのあと、チュバブはこんなふうに体を洗っていたとか、チュバブの裸はこうだったとか、タオル一丁の間抜けな姿で怒ってきたとか、そんなことを笑いながらほかの悪ガキ仲間にふれまわっていると思うと、ますますやるせなくなってしまうわけです。

…嗚呼、ほんとうにイヤな出来事でした。昨日はせっかく、調査がうまくいって、とっても充実した気分だったのに。

もちろんジェンネには楽しいこともいっぱいありますよ。みんなで雹(ひょう)を食べたりとかね。↓そんなことも、もちろんたくさん書いちゃいますよ。わたし、おしゃべりやもん。

あ、ちょっとスッキリ。

2 件のコメント:

  1. 少し前から拝読させていただいております。毎回面白い記事で、大変に勉強になっております。
    お兄様とは、以前に中央アジアにてお会いしました。もう二年以上前のことです。二日ほどご一緒しただけでしたので、もう覚えていらっしゃらないかもしれません。このブログにたどり着いたのはたまたまでして、妹さんと後に知って驚きました。
    いつごろまで滞在されるご予定でしょうか。調査の方、頑張られてください。

    返信削除
  2. tanakaさん

    こんにちは。コメントありがとうございます。しかもブチ切れている姿をさらしてしまいまして…おはずかしいったらありゃしない。

    さて、兄とご一緒だったそうで!奇遇ですね。うれしいご縁です。ちなみにどうでもいいですが、寝起き・スッピンのわたしの顔は、兄と瓜二つです。

    もりもり動きまわる兄とは対照的に、わたしはじぃっと同じところにいたいタイプなので、こうして長々とジェンネにおります。滞在は年明けまで、新年度までには帰国していることと思います。

    調査、のぞかれたりしながらも、ぼつぼつ頑張っていきたいと思います。tanakaさまも(いまは日本ですか?)、どうかお体に気をつけてお過ごしくださいませ。

    返信削除