2009年3月19日木曜日

ガリブ。

ジェンネには「ガリブ」と呼ばれる子供たちがいます。ジェンネ以外のマリの町にもいますが、ここは特に多い。かれらは、よそから来たコーラン学校の生徒たちです。

ジェンネは西アフリカでも有数のイスラーム学術都市として中世から有名で、いまでも町のなかに50以上のコーラン学校があります。よその町や国から、有名なジェンネで学ばせようと、親が子供を送ってくる場合もあります。いわばジェンネ留学です。留学してくるのは主に、10歳前後から15歳くらいの男の子。

学んでいる先生の家にお世話になり、そこでご飯を食べている子もいますが、たいていは、日本のお坊さんでいう「托鉢」「乞食(こつじき)」をして、ご飯を得ています。

ご飯時になると、小さな蓋付きのバケツをもって家々をまわり、「アーラガリブ」という決まり文句を言ってご飯を乞います。だから皆、かれらを「ガリブ」と呼びます。

もちろんすべての家にガリブに分けるご飯があるわけではなく、まだ家のひとが食べ終えてない場合もあるので、ガリブにあげるご飯がないときには、「アララン」と言って断ります。

断られてもなお、じぃっと物欲しげにご飯を見つめて立ち去らなかったりすると、家の人に、「ないって言ってるでしょ」と怒られたりします。(間の悪いガリブやくどいガリブは、そんなに邪険に扱わなくても…と言いたくなるくらい、シビアに追い払われます。)これも修行とはいえ…がんばれガリブ。

今朝、庭で朝ごはんを食べていると、とても小さなガリブがやってきました。まだ4歳くらい。「アーラガリブ」と乞う声も、なんだか舌ったらずで、もじもじ恥ずかしげ。ジェンネにガリブはうじゃうじゃいるものの、こんなに小さなガリブ君は、あまり見かけません。まだ新入りかしらん。

あげる食事がないときにはガリブをきっぱりを断るお隣さんも、さすがにちょっといじらしく思えたのか、25CFA硬貨渡していました。(5円くらいですが、朝食用の揚げパン1個は買えます)

ガリブのなかには、コーラン学校をドロップアウトして、こうした乞食(こつじき)だけをして、気ままなだらだら生活に堕している子もいて、コーラン学校の先生たちがかかえる問題のひとつにもなっています。

今朝のちびっこガリブ君、こんなに小さな時から(おそらく)親元を離れて一人で勉強しに来ているのだから、できればドロップアウトせず、ジェンネでたくさん学んで、ゆくゆくは立派なお坊さんになってほしいな、と思います。

と同時に、たとえ信頼のおけるよい先生のもとに送ったにしても、もうちょっと物心ついてから留学させてもよかったんじゃないかしら…と、ちびっこガリブの親に言いたくもなりました。できれば有名なところで学ばせたい、という親の気持ちも分からないでもないし、来たからにはがんばってほしいけれど…

私にとってはちょっと複雑な、ちびっこガリブちゃんの来訪でした。

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