2009年3月13日金曜日

住んでいるおうちの紹介をします。





ジェンネはその独特の建築で有名です。

建物はすべて泥からできています(泥の日干しれんがと泥のしっくい塗り)。建物の様式も、かつてジェンネを支配したモロッコの様式や交易でもたらされたアラブ風の様式と、この一帯に特有の様式が混ざりあったりしていて、混交の妙を感じます。

私がお世話になっているおうちの間取り図を描いてみました。(以下の文章、調査メモも兼ねているので長くなりました。すいません。)

一般的なジェンネの家は、このように複数の部屋が中庭を囲む形です。一家で住んでいる場合もあれば、わたしの住んでいる家のように、複数の世帯が長屋かアパートのように間借りしている場合もあります。ここには、私も含め、4世帯16人が住んでいます。(4の若者部屋を除く)トイレ、水浴び場、中庭は共有です。庭にはアヒルが8羽います。

a.水道 
10年ほど前から、各家の敷地内に水道が増えたといいます。水道がない家は、町内の複数箇所にある公共水道から、バケツ1杯いくらか(たしか10F)で運んできます。

1.トイレ(小便用)

屋根、扉なし(扉を取り付けている家もあります)。1mほどの壁で囲んであるだけです。死角でうまく用を足さないと、うっかり道行く人やロバ、ヤギと目が合ってしまいます。     

2.ちょっとからだを洗うところ:1と同じく。

3.玄関間

家によって使い方は様々。小さな売店、コーラン学校の教室、家畜の繋ぎ場、夕涼みなどに使われます。わたしのところでは、日差しが強い時間帯に女性たちがここで杵つきをしています。

4.若者部屋

家の息子や近所の同年代の男の子用の部屋。ジェンネでは男の子は15歳くらいになると、結婚するまでこうした部屋で同輩と一緒に仕事や学校以外の時間を過ごします。彼らが眠るのもここです。部屋は家の敷地内にはあるものの、メインの玄関ではなく、この部屋に直接通じる入り口があるため、若者の自由な出入りが保たれます。若いのが夜遅くまで騒いでうるさい時もありますが、常にここにたむろしている彼らは、家の住民の御用聞き、力仕事の格好の要員で、夜には門番の役割も果たしています。

5.かまど

料理は可動式の炉をつかって中庭でも行いますが、ここには備え付けられたかまどがあります。

6~9.寝室

わたしの部屋は7のところで、6畳くらいでしょうか。点線部はベランダ。内装ももちろん泥です。床は土間です。こちらでは、部屋の中はあくまで夜に眠る場所、荷物を置いておく場所という感じで、おしゃべり、料理、食事などの、寝るまでの時間の生活の中心は、ベランダと中庭です。
 
10.トイレ(大用)兼 水浴び場

トイレといっても、地面に直径約20cmの穴のぽっとん便所。1階のかまどの隣(4と5の間)の壁は1,2階を貫く空洞になっていて、そこに落ちていきます。溜まってくると、壁に穴を開けて取り出します。空気が乾燥しているうえに、真下のかまどの熱が加わるので(そのために真下にかまどを作る)、日本のぽっとんほど臭いは気になりません。ここも屋根・扉はなく、1m20cmくらいの壁に囲まれているだけです。用を足しているときには、布を壁にかけたり、近づく足音に咳払いなどでアピールしないと、うっかりお隣さんが入ってきます。

水浴びもここでします。1階から水をいれたバケツをもってきて、体を洗います。流した水は2階のここから直接路地に排水されるので、ジェンネの路地を歩くときには頭上に気をつけないと、たまに水がどばっと降ってきます。

11,12. 部屋


ジェンネの家々は、どこからどこまでがひとつの家かわからないくらいひしめきあっています。この家も、私の部屋の北側の壁は、背中合わせに建っている別の家の壁になっています。8~12の部分もさらに別の家と
壁を共有しています。四方の壁をそれぞれ別のよその家と共有しているお宅もあります。家々が接近している、というよりも、家々が背中合わせ、お腹あわせにくっついていたり、食い込んでいたり。

家々が、人々が、ぎゅぅっと寄り合って、その間を毛細血管のように細い路地がくねくねと這っているジェンネの様は、時にわたしに気詰まりを感じさせもします。こんな密なところで、何か非難されるようなことをしようものなら、まぁ二度と住めないだろうな、というくらい、頑固な密度があります。

でもそれ以上に、この密な家々、人々、町並みに感じる安心感、生々しさに、魅力を感じます。

1 件のコメント:

  1. くねくね迷路のような街ってちょっと憧れます。
    私の場合、迷子必至だけど。
    更新楽しみにしてます。からだに気をつけてねー。

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