2009年11月25日水曜日

マリのミスコン。

先日、マリではミス・マリ・コンテストが開催されました。正式名称はMiss ORTMといいます。ORTMはマリで唯一のテレビ放送局(国営)です。ほかに全国規模のミスコンがないので、このテレビ局の主催で年に一度開かれる当ミスコンが、実質的なミス・マリ・コンテストです。

マリの8つの州から、各州の代表者が選ばれます。これに加えて、さらにフランス在住のマリ人代表も。フランスに住むマリ人は、パリ周辺を中心に数十万いるといわれます。これだけいれば、ミス・マリの選考にも、フランス在住のマリ人を軽視できません。

ミス応募の年齢制限は24歳とのこと。テレビで各州の代表者をみると、それぞれの州に多いエスニックに特徴的な顔のひとが見られます。北のキダル州代表は、肌の色が浅く、高い鼻にどこか憂いのある目。南のシカソ州代表は、肌の色が黒く、口角がきゅっと上がったハツラツとした口元で、おめめパッチリ。タイプはまったく異なりますが、それぞれに美人さんでございます。



美人ぞろいでけっこうなことですが、ただ、ちょっと気になる点がひとつ――皆さん細い。とにかく細い。

マリの女性のなかには、年齢を重ねると「ふくよか」か「とってもふくよか」な感じになる方が多めですが、娘さんはだいたい細めです。細いといっても、出るところは「パンっ!」とかっこよく出ている。かといって、太っているわけではない。

普段から、娘さんたちのプロポーションを、あっぱれなり! と思って見ていた扁平なわたしだけあって、選らばれたミスの皆さんを見て、ちょっとアレ?と思いました。というのも、ミス・マリなのに、マリの同年代の女性の平均からしても、細すぎる。いや、細いっていうか、あの素敵な「パンっ!」が足りなくないか?

30代半ばから上の世代くらいの人は、「女は丸くてなんぼ」といった認識の人が多い印象です。わたしもよくジェンネで、おじさんおばさん方に、「もっと太らないと子どもが産めないわよ」「そんなにぺちゃんこだと男が寄ってこんぞ」と、本気で心配されます。服を仕立てるとき、採寸しようとした仕立て屋さんから、「バストとヒップはどこですか?」と真顔で聞かれたことも。仕立て屋のおじさんよ、分かりにくいかもしれませんがね、こころなしか膨らんでいる上のほうがバストで、下のほうがヒップですよ。

そんな太め志向の壮年・中年の一方で、10代後半から20代はやせ志向。とくに都市の若者にその傾向は顕著です。若人いわく、「太い女は好みじゃない」「太りすぎは病気になりやすい」「わたしはコカコーラの瓶みたいな体型でいたい」などなど。コカコーラの瓶になりたい子のお母さんは、コカコーラの缶のほうみたいな形をしてはります。

ミス・マリの候補者の細さは、こうした若い世代のやせ志向を反映しているのかもしれません。でもなぁ、太りすぎはいかんが、あの「パンっ!」感に欠けるのもどうかと。あれこそマリの美人ってイメージなんだけどなぁ、と、勝手にちょっと不満。ま、わたしは審査員でもなんでもない、通りすがりの外国人ですが。

そんなわたしの不満や年配のマリ人の皆さんの声を反映してか、マリにはもうひとつのミスコンが存在します。「ミス・ヤヨロバ」。ミスORTMと時期は異なりますが、こちらも年に一度、盛大に開催されます。

「ヤヨロバ」とは、バンバラ語で太った女性のこと。でも単に太っているのではなく、「パワフルで愛想のよいふくよかな女性」という肯定的なニュアンスのことばです。「彼女はヤヨロバだ」というのは、ほめ言葉。エントリーする女性たちの体重は、細めなお方で80kgくらい、大きなお方で130kgとか。

以前テレビでミス・ヤヨロバ候補者の皆さんを見ましたが、たしかに、ただ太いだけではありません。どこか愛嬌がある。自分がこんなサイズに成長を遂げようとは露も思いませんが、こんなお姉さんが近所にいたら、老若男女から慕われそうだなぁ、というタイプの、ど~んと陽気な雰囲気の方々です。ミス・ヤヨロバでは、優勝のあかつきには、賞金のほかに1年分の米も進呈されます。おちゃめなマリの皆さんよ。

美の基準は地域や個人でそれぞれでしょうが、どっちもなんだか極端な、マリのミスコン事情であることよ。

4 件のコメント:

  1. ミス・ヤヨロバ、ぐぐったら出てきたよー。うん、たしかにむっちり可愛いかんじのお姉さんたち。頼れるかあちゃんになりそうですね。
    ヤヨロバコンテストもORTMも、みんな同じユニフォームで審査するのかな。民族衣装も見てみたいと思ったり。

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  2. はれんちryokoちゃん

    ミス・ヤヨロバ、ぐぐったら出てくるんや。さすがに(とかいうと失礼か)、ミス・ヤロヨバに水着審査はありません。ミスORTMは、おそろいの服も、水着も、それぞれの民族衣装とかアクセサリーをつけた審査もあるよ。

    ヤヨロバは「ふくよかさん」への親しみを込めた呼び方で、その逆もあり。「ペケレン」って言って、細くて少年みたいな体型の女の人に使います。「がりがりちゃん」みたいなニュアンスか?

    わたしもよく、町を歩いとると「おい、ペケレン!」って呼ばれるよ。本気でけなしている言葉じゃないとはいえ、お尻と胸がないことは気にしてるんで、ちょっとフクザツ…。なんか「ペケレン」って響きが、軽いというか、間抜けというか。

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  3. もううちらはミスコンには出られんお年頃やねー
    あーーせつない

    たま

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  4. たま

    そうっちゃんねー、もう出られんとよ。これが現実よ。まぁ、"もう"とか言っても、これまで出ようとしたことはないんやけどね。

    こうなったら、ミス・ヤヨロバのほうをめざそうと思うけど、還暦を前にしても少年に間違えられるうちのお母さんを見とると、それも無理っぽいな。

    そうそう、ZOZOの雑誌?が出たんやねー。おめでとう。活字とか手にとれる媒体になるのって、やっぱりうれしいよね。

    みく

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