2009年4月26日日曜日
沼の哲学者。
こんにちは。
まだ気を抜くと気分のへこみがおそってきますが、気を抜く隙を自分に与えないよう、けっこうもりもり調査しています。元気がないときこそ余計に働いて勢いをつける。こういう時つくづく、「あぁ私ってやっぱりニホンジン」と実感します。
さて、上にある立派な魚の説明をします。
マリには海はありませんが、ニジェール河やその支流バニ川があります。ニジェール河の中流がマリの国土を「へ」の字に、平坦に流れています。平らなところを流れているので、上流のギニア山地でたくさん雨が降ると、川の水は流れるというより、じわぁぁぁっと溜まって川幅をはみだして、マリの中ほどで広大な氾濫原を形成します。「ニジェール河内陸三角州」と言われる、九州くらいの広さの三角州です。
9月頃からこの三角州ができはじめ、1月頃には逆にじわじわと水が引きはじめます。この三角州は、農耕にも漁にも放牧にも適した、とても肥沃な土地です。ジェンネもこの氾濫現の南端あたりに位置します。
ニジェール河とそれがもたらす三角州のおかげで、マリは内陸国でありながら、西アフリカで第三位の漁獲高をほこっています。1,2位はモロッコとセネガル。どちらも海に面しているうえにマリよりはるかに大規模な漁業をしているのですから、この3位はあっぱれです。マリではボゾ(ジェンネ語ではソルコ)と呼ばれる「河の民」が、専門的に漁をおこなっています。(この「河の民」の研究については、民博の竹沢尚一郎先生による民族誌『サバンナの河の民』という本に詳しいです。)
安定して漁ができる季節は限られていて、三角州から水が引き始める時期が、河での漁のよい頃合。ですからいまは、河や沼などで地味に漁が行われています。地味に、といっても、栄養たっぷりの水が長時間溜まっている沼には、ずいぶんご立派な魚が潜んでいます。
魚のから揚げを売っているお隣さんが今日仕入れてきたこの魚も、ジェンネから30kmくらいはなれた沼で獲れた魚だそうです。ひげのあるなまず。その表情はどこか気難しい老哲学者っぽい風情。彼は沼の主だったのか?表面はぺかぺか。顔に似合わず若いおなごの肌のようにむっちむちの弾力があって、指でむにむに押すととても気持ちいいです。(押しすぎて、お隣さんに「もういいでしょ」と怒られました。)
久々に立派な魚を見たので写真を撮りました。
大きさが分かりやすいように、最初はボールペンを置いたのですが、ペンでは小さすぎたので、隣の赤ちゃんラシン君を置いてみました。どれくらい立派か、伝わると思います。
ラシン君、ちょっとこわいようで、なまずと目を合わせようとしませんでした。(でも老哲学者が揚げ物に変身した途端、「ちょうだいちょうだい」「食べたい食べたい」のしぐさを繰り返していました。
まだ歯、生えてないのに。)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
どうも。いっぺいです。
返信削除お元気ですか?
毎度毎度楽しく読ませてもらってます。
なまず、でかいな。
こんなにでかいのか?なまずって。
なんかドラゴンボールで
孫悟空が丸焼きにして食べるような、
それくらい漫画っぽい(立派な)なまずだなー。
天ぷらにしたら美味そうですね◎
久々に投稿させて頂きました。
またお邪魔しにきますー。
お仕事(現地調査?)頑張ってなー☆
いっぺいさん
返信削除きっと、ならちゃんならササっとかっこよくデッサン
できるんやろうけど、私に絵心はないので、赤ちゃんで
花を添えてみました。
お仕事忙しかろうけど、からだに気をつけて
がんばっつ。うーえー氏とかにもよろしく。
mkの写真はとてもよいですね。
返信削除非常に美味しそうな哲学者。
写真、とっても秀逸ですね。小生にはラシン君が「怖くて目を合わせない」というよりは「自分の獲物をしっかりと見張っている」ように見えますが。
返信削除>wknさん
返信削除えへ、ぽにょ先生にほめられちった。
哲学者、美味でした。ぷりぷりやった。
写真のテクニックのことは何も知らんので、
すべてデジカメのオートにお任せ。
絞りだのなんだの、もっと勉強せなな、と思う。
お仕事、がんばってね。
>hirataさん
そうか、ラシン君、見張っていたのね。
なにせまだ「だぁ」とかしかしゃべらないので、
勝手に私が彼の気持ちをアフレコしています。
それにしても「小生」って。
渋い一人称使うね、若いのに。