2009年10月20日火曜日

建設ラッシュinバマコ。

所用のため月曜日から日曜まで、マリの首都バマコに滞在していました。

「めざましい発展」ということばがぴったりなくらい、今のバマコは、来るたびにどんどん「モダンに」変身中。わたしが初めてマリに来た2004年には、めったに見かけなかった新車の日本車やヨーロッパ車も、今では当たり前のようにたくさん走っています。値段を聞けば、日本で買うのと変わらない立派な金額。こちらと日本の物価の差を考えたら、日本で新車を買うよりずっとたいそうなお買い物のはずですが、わたしと同年代の若いマリ人夫婦が乗りまわしていたりします。

またバマコには、じつにたくさんの建設現場が。会社のビル、ホテル、個人の立派な邸宅、そして大規模な道路の立体交差。街の中心を流れる大河ニジェール川にかかる三つ目の橋も、ただいま建設中です。街を歩けば、つねに聞こえてくるドンカンドンカン、ウィンウィン、ガゴゴゴゴ。大きな工場のなかに住んでいるみたいです。高度経済成長期の東京も、こんな感じだったのでしょうか。

建設ラッシュのバマコには、中国の建設会社がたくさんはいっています。あちこちの建設現場で、図面を広げたりマリ人の作業員に指示をだしたりしている、中国人の男性たちを見かけます。

バマコで居候させてもらっているお宅のとなりも、マンションの工事現場でした。毎日、早朝5時から夕方5時くらいまで、みっちりお仕事がつづいています。ときには真夜中にも、重機が元気に稼動する音が聞こえてきました。ライトもないのに、暗闇のなか重機作業して大丈夫なんだろうか。

この現場も、例にもれず、中国の建設会社が請け負っています。作業員はマリ人の若い男性たち。中国語の怒号は、中国人責任者の男性の声でした。「うわぁ厳しいなぁ、そんなに怒鳴らんでもよかろうに…」と思いながらその怒号を聞いていましたが、居候先の方いわく、「別に怒っているわけではなく、マリ人の作業員に指示を出しているだけらしい」とのこと。どう控えめに聞いても、中国語の分からないわたしには、彼が怒りまくっているようにしか聞こえない。

たしかに現場の様子を見ていると、この責任者のおじさんがいなくなった途端に、作業員のマリ人のお兄さんたちは、おしゃべりに興じたり昼寝をはじめたり。あきらかにだれてしまいます。だからまぁ、現場責任者としては、これくらい厳しく接さないといけないのかもしれませんが…。

とってものんびりと、とってもせっかち。どちらも極端やなぁ、と、その漫画のようなコントラストを窓から眺めていました。「中国の会社から相場より安い値段で雇われているから、マリ人の作業員は隙あらばサボタージュしようとしているらしい」といううわさもバマコではよく聞きますが、さすがに責任者のおじさんの前で、作業員のお兄さんたちに日給を尋ねることははばかられました。真相は分かりません。

バマコからジェンネへ帰る日、長距離バスに乗るため、まだ暗い早朝5時に居候先を出ました。すると道端で、隣の現場のおじさんが、指先までぴんと伸ばして力いっぱい体操している姿を見かけました。おじさんは、家やホテルではなく、現場近くの掘っ立て小屋のようなところで、ひとりで寝起きをしているようです。たしか前夜は、作業員が帰った夜中にも、自ら重機を操縦して作業していたのに。いやぁ、すごいパワー。会社から派遣されて、中国の家族と離れてもりもり働いて、ひとりで小屋に寝起きして、伝えようと声を張るあまり現地の作業員には疎まれて…早朝からキビキビ体操にいそしむおじさんのその姿が、わたしにはちょっと切なく感じました。

ちなみに、マリ人の作業員のお兄さんたちは、中国語を話せません。責任者の中国人のおじさんは、フランス語も現地語も話せません。それでもなんとか指示が伝わっているっぽいのは、やはり声の大きさのおかげか。よく「愛があれば国境なんて」と言いますが、「声を張れば国境なんて」ということなのかしら。

中国ビジネスinアフリカ。自分流を通しすぎてもいけないし、郷に入れば郷に従いすぎてもいけないし。いろいろ難しいよなぁ、と思うのでした。






写真は、ジェンネ~バマコ間の道にあった、建設中の鳥のマンション。マリは国内4か所(トンブクトゥ、ガオ、ペイ・ドゴン、ジェンネ)の世界遺産めぐりだけでなく、バードウォッチングのスポットとしても、外国人観光客に人気です。欧米から「鳥を見にきた」という観光客もたまに見かけます。鳥マンションも、いたるところにあります。

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